冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
「希望とかじゃなくて……愛ってこう、気持ちの共有とか、コミュニケーションとかで育まれていくものじゃないですか」
「コミュニケーション。抱いてほしいという意味ですか? こちらは一応そのつもりでいましたが」
「抱っ……」
そういうことじゃない! いやそれも含むけど、どうしてこうロボットみたいな答えばかり返してくるの。
響子さんは大興奮といった様子で「いやーん!」と私に抱きついてくる。
「いいじゃないの芽衣ちゃん! 彼氏なんてずっといないんだから付き合ってみなよ! 私なら結婚しちゃうなぁ」
余計な情報を流され「ちょっと響子さん」と彼女の腕から抜け出した。話を聞いていた店長もキッチンの方から「響子には俺がいるだろ!」と焦った声を出している。
「あ!」
私は大切なことを思い出し、声を上げた。そもそも私に彼氏ができない理由があった。