冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
「……は、はい……そうです」
「なるほど。わかりました。では三澄さんが夢を叶えられるよう願っています。で、それはとくに俺との結婚を断る理由にならないと思うのですが」
おかしいな。瀬川さんはバカにしない。
最初は私もこの夢が恋愛や結婚ができない理由になるとは思っていなかったが、実際は応援してくれる男性などいなかったから。
『飲食業はそんなに甘くないよ。オープンしてもすぐに閉店する店だってあるだろ。芽衣にできるとは思えないからやめておきな』
父にも、母にも、友人にも、何人かの恋人にもそう言われてきた。
まだやってもいないのにわからないじゃない。こうして修行して、お金も貯めてる。失敗したら責任は自分で取るし、そのときは皆が言うようにガムシャラに働くしかないって覚悟も決めているのに。
挑戦することすら甘いと言われる。そんな中では、理解してくれる恋人なんて現れないんだとあきらめるしかなかった。
「……瀬川さんは、私の夢が無謀だとは思わないんですか? うまくいくはずないって」