冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
第3話 冷徹と情熱
さっそく翌日、彼のマンションへ行くことが決まった。なにをしに行くかはよくわからないが、なるべく話をしてお互いを知るべきなのは私もわかる。
早朝に目が覚め、昨夜のうちに準備していた白いレースのブラウスとのグレーのプリーツスカート、赤いカーディガンをしゃんと着こなす。髪はまっすぐになるようアイロンで整えた。
落ち着いた印象ながらもカーディガンの色味でアクセントを、自分ではそう思ってコーディネートしたつもりだが、やはりちょっぴりダサめに仕上がる。
バッグと靴でなんとかならないかと小さなクローゼットとにらめっこするが、いつもの黒い革のポシェットとエナメルのパンプスになった。
姿見に写る自分に見覚えがある。たしか、中学生のときに出た音楽発表会でもこんな格好だった。成長してないな。
本気でこれを妻にするつもりなの?とあまりに無頓着な瀬川さんが心配になる。