冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす

「はじめまして。……って、ロボット!?」

あまりに予想外ものが目の前に現れたため、私は視線はロボットに向けたまま、咄嗟に瀬川さんに手を伸ばした。

「わっ……」

そういうつもりじゃなかったのだが、彼は手を掴んで私を手繰り寄せ、背中を包むように抱きとめる。

「AIロボットのジータだ。主に家事をさせている」

耳もとで囁かれる言葉は事務的なのに、吐息がかかるだけで体が震えた。
なにを考えているかわからないから、この近い距離に「なんで? なんで?」といちいち頭が混乱する。

「そ、そうなんですね。かわいい名前……」

「作り替えるたびに名前を変えている。ギリシャ語の通番で、最初がアルファ、次がベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ジータ」

「ひゃあ、瀬川さんっ……」

甘い声で囁かれる突然の機械的な言葉の羅列に、脳内をかき回された。
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