冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
おそらく真っ赤になっている耳を押さえ、彼の腕にしがみついた。
自分の体が尋常ではないくらい熱くなっているのがわかり、ハァハァと息をして熱を逃がす。
瀬川さんは私の耳のあたりの髪に触れながら、私の背後にいるジータを睨んでいる。
「……嫌がっているように見えないが」
なんの話だろう。考えたいのだが、甘い触れ方に意識が朦朧として頭が働いてくれない。
『それは本人に聞いてみなければわかりません』
「ジータ。お前が止めたんだ」
『念のためです。人の気持ちまでは読み取れませんよ、私、AIですから』
「口が達者になりすぎたな。もうお前のアップグレードはしない」
喧嘩をしているように聞こえるのは私だけだろうか。
こんなに言い合いのできるロボットを作れるなんてすごい!と大拍手を送りたいのだが、現実だと思えずまだ脳内がフワフワとしている。
それは昨日からずっとだけど。