冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
「瀬川、さん……んっ……」
今度は一瞬では離れない。角度を変え、綺麗だと思ってずっと見ていただけの彼の唇が重なってくる。
冷たいのかと思っていたのに、瀬川さんの口の中は熱い。やがてそれが溶け合うほどの深いキスに変わっていく。
「あ……どう、して……んぁ…」
体の芯がジンと痺れる。手で重心を支えていられなくなりしなだれると、瀬川さんの手が背中に回り力強く支えられた。
「ずっとこうしたかった」
意識がぼんやりしていく中でも「どうして?」という気持ちが消えず、戸惑いで彼の肩を弱々しく押す。
「瀬川さんは優しすぎます……。私、誰にも認めてもらえない妻ですよ。私みたいなのが妻だなんて、ワンナイトよりも仕事のお相手に心象が悪いかも」
「俺の妻に文句をつける相手と仕事をしてたまるか」
「ネットでも叩かれてるし……」
「……つらい思いをさせているのはわかった。悪い、今日初めて知ったんだ。すべて俺のせいだ。こんなことを言っても慰めにはならないかもしれないが、俺は芽衣のことを世界で一番かわいいと思っている」