思っていたのと 違うのですか‼︎


まぁ、サインはしますけどね。握手も。

マシンの様に次々とサインをしていく。

「根津さんの代わりに、葉山さんの補佐になりました。坂本です」

「彼女が先生なら“亀塚公園にいるかも"って言ったんですよ」
「初めに来た斉藤と、相当のマニアだな」

「ありがとうございます」と握手をしつつ、失礼かなと智さんの顔を見る。

「どうした?」と聞かれたので

「根津さんって誰ですか?」

と聞いてみた。


一瞬にしての静寂。

あっ、これはやってしまったかもしれない。


クククと智さんの笑いが漏れる。

「私と行動を共にしていた女性が根津ですが・・・」

葉山さんが説明しようとする。


「あぁ。秘書愛人さんって、根津さんって言うんですね」

小さく呟いたつもりだったが、静まり返った場所では思った以上に声が響いた。

「誰のだ」

智さんが口を挟む。

「でも。根津さん?智さんに好意を持ってましたよね」

翔様に同意を求めてみる。

「持ってたな」
「根津との関係を疑っていたのか?」

智さんが不服そうに言う。

「いいえ」

私がすぐに否定すればホッとした顔に変わる。

「敵意剥き出しなのに、何も言ってこないので好意を抱いてはいるが、踏み込んではいないかと」

< 103 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop