思っていたのと 違うのですか‼︎
「本日、晴れの日に夫婦になった事により、私の荷も一つ下ろす事が出来ました。
 この荷が下ろす事が出来た暁には、社を息子に託そうと前々から考えておりました。

何分、未熟な二人ですから、夫婦としても社の顔としても一人前になるまでは、平坦な道のりではないかもしれません。
勝手なお願いではございますが、これからも、皆様のご指導と義鞭撻を賜りたく思っております。

 この後、新郎 智からも挨拶をさせていただきますが、まずは両家を代表いたしまして、私より皆さま方へのお礼の言葉とさせていただきます。
結びに、皆様のご健康とご多幸を祈りつつ、両家代表の挨拶と代えさせていただきます。本日はまことにありがとうございました」


 やり終えた。と深々と頭を下げるお父様。
お父様の挨拶を終え、立ち上がる新郎。
スタッフさんにグラスを取り上げられて、立たされる私。

 お父様‼︎今なんて言いました‼︎
と旦那様を慌てて見ても、眉間に皺は寄ったまま、マイクを受け取り新郎の挨拶を始める。


「本日は御多用の中、私たちの結婚披露宴にお集まりいただきありがとうございます」

 頭を下げる旦那様に釣られて、私も頭を下げる。

「皆様からたくさんのご祝辞をいただき、感謝の気持ちと同時に改めて身の引き締まる思いです。

家族を持つ身としても、社を守る立場としても至らないところの多い私ですが、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

改めまして、皆さま本日は本当にありがとうございました」

長文、話せるんですね。初めてちゃんと声を聞きました。甘い声でお話しするんですね。

< 11 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop