思っていたのと 違うのですか‼︎
第1章

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 明治時代から続く名家の末っ子として生まれた私は、みそっかす。

 将来有望な非の打ち所がない外面を持った跡取り息子 兄 弘一郎(コウイチロ)と
美貌と愛嬌と計算高さを兼ね備えた姉 彩華(アヤカ)は世界の中心に君臨していました。

 優秀な兄姉と比べたら、どんな人間でも出来損ないに見えるに決まっている。

 「全人類に謝れ」と常日頃から思っていても、それを許してくれない環境が名家ゆえということかもしれません。

 雨風を凌げる屋根があり、三食おやつ付きで食べる物にも不自由がなく、「女に学歴はいらない」「結婚して世継ぎを産んでこそ女の幸せ」なんて一昔二昔の価値観からアップデートできていなくても学ぶ事を諦めなくてもいいのですから、
都合のいい時だけ私の存在を思い出す家族、何を言っても奪っても許させると思っている周囲にも【みそっかす】として甘んじて受け入れなければ、バチが当たると言うものです。

 精神的ストレス満載でも、ネグレクトや虐待、暴力的なイジメを受けている訳ではないので問題ないと受け入れてしまうのは、培ったものではなく本来の私の性格ゆえ。

 全てがネタになる、おいしいとメモをしてしまうのです。
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