思っていたのと 違うのですか‼︎
「俺の祖父じゃない。株主の爺さんだ。だから、お前まで行く必要はない」
私の頬から首へとそっと優しく触る。
だから、甘い空気を出している場合じゃないんですか!
「ん」と自分で発した事のない声が漏れる。
こんな声、どこから出てくる!恥ずかしいんですけど!
そう思えど、避ける事が出来ない。
抱き寄せられる。
なんの香水だろうか?甘くていい匂いがする。
頭を撫でられている。
何か柔らかい物が私の頭を触れている感触がする。なんだろう?
そう思い、上を見上げると旦那様と目が合う。
「せっかく来たんだ。お前はゆっくりして行け。明日、迎えを寄越す」
そう言いながら、おでこや顳顬にキスは降ってくる。
恥ずかしい。
「いえ。せっかく来たのですから、ゆっくりと回りながら自分で帰ります」
なんか声を絞り出して言う。
「そうか」と呟く旦那様。
「時間だ」と少し残念そうに聞こえたのは、私の幻聴でしょうか?
「チュ」と音と共に、今まで感じた事のない感触が唇から感じる。
「なるべく早く戻る。ゆっくりしろとは言ったが、あまりゆっくりし過ぎず家に戻れ」
家で会おうと私の頭を軽く優しく叩くと、颯爽と部屋から出て行った。
「一体、何が起きた?」
私はその場に座り込んだ。
何故、知り合いだらけのここに連れてきたのか?
何故、急にあんな事をしたのか?
何故、私は嫌がらなかったのか?
何故、私は最も簡単に旦那様を受け入れたのか?
考えても答えは出てこない。
わからない事だらけです。
とりあえず、式に続き、また私が一人取り残された事は事実で。
「なんなんだ‼︎」
ベッドに飛び込み叫びたい気持ちをタブレットにぶつける。
とりあえず旦那様には死んでもらいましょう。
社会的抹殺と物体的撲殺、両方行かせて頂きます。ついでに女将さんと沙耶さんもご一緒に。
完璧なる八つ当たりの巻き添えです。
恨むなら、旦那様を恨んで下さい。