思っていたのと 違うのですか‼︎
6-2
ごめんなさい。
甲斐甲斐しく朝食を用意してくれる女将さんに心の中で謝罪する。
「本当に仕方がない人」と旦那様を評価する女将さん。
なんでも、昨日倒れたお爺様は小さな頃から旦那様を可愛がっていた株主さんで、この旅館の常連さんでもあるらしい。
一度言い出した事は家族でも止める事が出来ない頑固者だが、不思議と気が合う旦那様の言う事は素直に聞くらしい。
倒れて運ばれたのはいいが、治療を拒否して家族を困らしていたらしい。
そこで登場を白羽の矢が立ったのが旦那様で、直接説得する為に、お爺様がいる甲府へ急遽向かったという事だった。
美味しい朝食に舌鼓を打ちながら、一緒に相槌も打つ。
本当は説明する必要なんてないのに、一人残された私に気を使ってくれているのだろう。
なんていい人なんだ。
「お帰りになるのでしたら、お車を手配しますよ」とまで言ってくれた。
せっかく箱根まで来たので、ゆっくり散策して帰ろうと思っている事。
出来れば、旅館も回りたい、写真を撮りたいと伝えてみる。