思っていたのと 違うのですか‼︎


「これだから、ブルジョアは」

ガラの悪い男が言うと

「やっぱり本物は違うんですね」

と大型犬が目を輝かして言う。

本物のブルジョアは私ではなく、旦那様なんですけどね。

私はただの・・・なんなんでしょう?

「ポチ。トモと一緒に持って行け。会うのは、そこか?」

ショッピングモールの横に聳え立つ高層ビルを見上げている。

「残念ながら。今日はお好み焼きなんです」

お好み焼きをひっかり返す動作をする。

「随分、安上がりだな」と呆れ顔で言いながら、
「なら、あそこだな。通り道だ」と立ち上がった。

「会いたくない割には、好きなお店を把握してるんですね」

私も立ち上げる。

「腹減って入った店にいたら、最悪じゅぁねぇか」
「月島の遠どうさんは、どんな状況でも絶品だと思いますよ」

ニコッと笑ってみせると、すぐに状況を判断した様で、あくどい顔で笑う。

私の意味を理解して頂いて助かります。

「インフォメーションはすぐそこなので置いてきます」

いつ破れるかわからない重みのある紙袋を持って席を立つ。

大型犬も立ち上がるが「近くなので」と断りを入れ歩き出した。

本当に近くなので、2人が密談している間に戻ってくる事が出来た。

「では、よろしくお願い致します」

店を出て大型犬とは逆方向に2人で並んで歩き出す。

「腕でも組むか?」
「ご冗談を」

意味深に微笑む2人。悪巧みって楽しい!


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