思っていたのと 違うのですか‼︎


 足の長さの違いを考慮して歩いて下さい。

「旦那様!旦那様‼︎」

思い切って、手を引いてみる。

「智だ」振り向きながら停止する旦那様。

急に止まらないで下さい!

今まで引っ張られていた勢いを止める事が出来ず、ぶつかる!と身構えた。


衝撃が来ず、目を開けると旦那様の腕の中にいた。見上げると、旦那様と目が合う。

「俺の名前は、智だ」不服そうな旦那様。

「存じております」

それがなにか。と首を傾げる。

深かった眉間の皺がより一層深くなる。

私、何か変なの事を言いました?

手を私の腰に回し、

「お前達はもういい。帰れ」と頭越しに言う。

 旦那様様が発した声の方を見ると、第一秘書さんと秘書愛人さんがいた。

着いてきていたんですね。お疲れ様です。

こちらはこちらで、不服そうな2人。

「ですが」と秘書愛人さん。

「これは夫婦の問題だ。お前達に関係ない」

キッパリ介入を拒否する旦那様の圧が半端無いです。

圧だけで制圧させるとは流石です。

「わかりました。では、明日お迎えに参りますので。お疲れ様でした」

頭を下げる第一秘書さん。

秘書愛人さんにも帰る様に促し、歩き出す。

 それを確認すると、旦那様は無言のままレジデンスに向かって歩き出した。

今度は、腰に手を回したままなせいか痛さはない。相変わらず足の長さの違いは感じるが・・・

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