思っていたのと 違うのですか‼︎
その場を収め、二人を箱根に送り出す。
社に戻り、残った仕事をこなす。
「お帰りなさませ。不在時に上がってきた書類になります」
顔を上げると、微笑む根津がいた。
「ありがとう」と受け取り、時間を確認する。
「キリが付いたら上がって下さい」と声を掛けたが、立ち去る気配がない。
「他に用件でも?」と問えば
「専務の奥様って、葉山家の方なんですよね?」
首を傾げながら言う。
仕事に関係ない話ですよね。
その意を込め、根津の顔を見た。
「それが何か?」
「いえ。実は葉山御兄妹とは同じ学校だったんです。ですが・・・
私が存じている方とは雰囲気がまるで違うので・・・」
何が言いたいのだ。
「そうだったんですか」と話を合わせてみる。
「はい。とても華やかな御兄妹で、色々と有名だったんですよ」
随分含みのある言い方をしますね。
こんなんでも仕事は出来るからいいけど。
どちらにしても、問題が発生する前に多方向でリサーチを掛けておく必要がありそうです。
立ち去らない根津に「まだ何か?」と問いかけようとすればタイミングよく電話がなる。
「はい、葉山です」
電話に出ながら、根津にでていく様に促す。
まだ話し足りない様だったが、余分な話に付き合うほどの仲ではない。