思っていたのと 違うのですか‼︎


「わかりました。詳しくわかりましたら、またご連絡下さい」

時間は問いませんので。

一声掛け電話を切る。


甲府に住む久城(クジョウ)家の者からだった。

ワンマンで有名な当主が倒れたそうで、もしかしたら手を借りる事になるかも知れないと言う予告を受ける。

祖父と孫の年齢差にも関わらず、馬が合う様で智の話だけは聞き入れる。

 それを久城家にいい様に使われている気もするが・・・

まぁ、何事もなければいいが。

深いため息が出る。


願いも虚しく、久城家からヘルプ要請が入る。

一報を入れていたので、すぐに智に通じたのはいいが、機嫌が悪い。

「わかった。仕方がない。すぐに折り返す」

それは当然の事なのだが、こちらも好きで連絡を入れているわけではない。

[直接向かう]
「奥様を迎えにお伺いいたしますか?」
[自分で帰ってくるそうだ]
「畏まりました」

仕方がないとしても、不運な事だ。

ようやく作り出した時間が終われば、長期出張が待っている。

早くて3ヶ月。スムーズに行けば半年。滞れば1年。

これが終われば、世代交代への重要な布石となり、今よりはゆっくり出来るはず。

< 64 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop