思っていたのと 違うのですか‼︎
私は小さくため息を吐く。
しっかり報告出来ない事も、今この状況で報告している事も、根津にはがっかりです。
「確かなのですか?」
怒りなのか、絶望なのか。
言葉を発しない智の代わりに会話に参加する。
「あっ、はい」
固まる根津を緩和する為になるべく優しく話しかける。
「写真が・・・でも上手く撮れなくって」
オズオズとスマホを差し出す。
若い男性の頭に両手で持っている女性。
奥様を知っているから、認識出来るレベルの写真だった。これでは言い逃れができてしまう。
証拠とは言い難がった。
「でも‼︎そのあと偶然行ったお店で、この男の子がいて、仲良くなったんです!『年上に振り回されてる』とか『2人でゆっくり話をする場所を探している』って言ってました。
私 黙っていられなくって」
目に涙を溜め、智の顔を真っ直ぐと見ながら訴える根津。
今、目の前で真摯に訴える根津。
冷静を装いつつも行動の端々に感情が漏れている奥様。
どちらが本物で、どちらが演技か。
どっちが演技だとしても女は厄介だな。