思っていたのと 違うのですか‼︎

2-2



「専務もお戻りにならないでしょうし、今日は終わりにしましょう」

優しく根津に微笑むと「わかりました」と満面の笑みで帰って行った。

単純で助かるというかなんというか

ため息を吐き、テスクの書類を片付けていく。

時間を見計らい、秘書室に向かった。


「お疲れ様です」

一声かければ、皆が作業を止めこちらを見る。

「根津なら帰りましたが」

私が秘書室に行く事は稀なせいか、室内がピリ着くのを感じる。

優しく穏和に。

「仕事中すみません。根津に頼んでおいた書類なんですが」

ホッとした空気に変わる。

警戒心は和らいだだろうか。

自分の担当者以外の事なので、皆首を傾げる。

まいったなぁ。
急に必要になったのに。
仕方がない。

小さくため息を吐き「お騒がせしました」と眉間を押さえながら部屋を出た。

誰一人「根津に連絡を取りましょうか?」聞かない。

誰も知らないのか、それとも電話には出ないと分かっているのか。

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