思っていたのと 違うのですか‼︎
先程からスマホを手離さない写真の男が翔に近づく。
「ダメです。セイヤさんやホクトさんも同じだそうで。連絡が取れたら知らせて欲しいと」
新たに加わる名前に根津が、反応する。
「他にもいたって事」
「何人いるの?」
コソコソと話しているつもりだろうが、静かになったフロアに声が響く。
その声の方に写真の男は顔を向ける。
ニコッと笑う。
翔に頭を掴まれ「無駄に愛嬌を振りまくな」と怒られている。
「無駄じゃありません」と反論した。
「普通はもっと陰険だったり、当事者以外わからなかったりするものなんです!
小学生の方がまだ頭を使ってマウンティングします。
こんなあからさまな手本みたいなマウンティングなんて、滅多にないんです」
頭が痛い。初見の男にバカにされている。
はっきりと言われ気付いたのか、根津達の顔色が変わる。
「学生だったら、辞めれば終わる。
でも、社会に出てのマウンティングは、転落したら最後なんですよ。
同じ業種では働けなくなります。そりゃそうですよ。ライバル同士でも話は通じてますから。噂はすぐに流れます。
問題を起こした人間を好んで働かせる会社なんて僅少です。それでもマウンティングして優位に立とうとする。
最高の参考資料です」
捲し立てて力説する写真の男。翔が止める。
「わかったから、黙ってろ」