思っていたのと 違うのですか‼︎
目で早くしろと訴える智。
なんなんでしょうね。この茶番。
「ご無沙汰しております」
[お前から電話なんて珍しいじゃないか?]
「少しお伺いしたい事がありまして
須藤 智美さん。旧姓山野 智美さんをご存知ですか?」
ここにいる全ての人が耳を澄ませているのがわかる。
スピーカーにでもしますか?
[あぁ、知っている。それがどうした]
電話越しでも感じる威圧感。
だから、電話したくないんです。
どこからか拝借した紙に〔連絡があったか聞け〕と書かれている。
「今朝、連絡とかありませんでしたか?」
「直球で聞いた」と誰かの声が聞こえる。
この人に遠回しの言い方は通用しないんですよ。と心の声で答える。
ふっと鼻で笑う声が聞こえる。
[須藤の息子がやらかしたか]
「そのようです」
クククと小さな笑いから、ハハハと大きな笑いに変わっていく。
[今朝、お礼の連絡が入っていた]それぐらいだと言った後、補足する。
[あいつに進藤を紹介した。そのあと、進藤の息子に会う事が出来た。そのお礼の電話だ]
「進藤?」
昨日、一緒にいた男性は、親父の知り合いだったか。
「あっ」鮫島が声を上げる。皆の注目が鮫島に集まる。
「前回会った時、科警研の所長と会うって喜んでました」
「科警研?」
「科学警察研究所です」
「科捜か。そのトップって事は」
翔には何か心当たりがあるようです。
[私も進藤のあの子のファンなんでね。何かあってみろ。タダじゃ済まないと、須藤の息子に伝えておけ]
だそうです。
ご愁傷様と翔が智の肩に手を乗せる。