思っていたのと 違うのですか‼︎
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そんな空気もお構いなしに鮫島が智の背を押す。
この度胸、うちにも欲しい。
「やらんぞ」
私の思考が漏れていたようで、翔から念を押される。お互い小さく笑った。
「俺は戻る。集まる時には連絡しろ。ただ酒をたらふく飲ませろ」
「タクシーは」と声をかけたが、「いらん」と颯爽と帰っていく。
私は手を叩き、皆の注目を集めた。
「では、結果が出るまで仕事をしましょう」
皆が仕事に戻っていく。
どさくさに紛れて、根津たちも戻ろうとするが、斉藤が呼び止める。
「で、君たちは何がしたいのかな?」
「それは根津さんが・・・」
彼女達が根津を見ると「ちょっと」と反論を始めようとする。
それを遮るように
「根津さんの事は一先ず置いておこうね」と前置きをして
「言い方を変えよう。君達は、会社に何をしに来ているのかな?」
部長の微笑みに彼女達は固まる。
「仕事をしに来ています」
「そうだね。なので、私は君達の身内でも教師でもありません。
ここにいる彼らも同じで、仕事のアシスタントはしますが、あなた達の家来ではありません」
ゆっくりと丁寧に話す。
「ここは働いた対価として給料を頂く場所です。私の仕事は、彼らが円滑に仕事が出来る様にする事。ちゃんと働いた人間に正当な評価を報告する事が仕事です」
項垂れる彼女達。
「なので、仕事さえちゃんとしてくれれば多少の事は目を瞑ってきたつもりです。
では、もう一度聞きます。
君達は何がしたいのですか?」
真顔で聞く部長をしっかりと見て彼女達は言う。
「仕事がしたいです」
ニコッと笑い「では、しっかりと仕事をして下さい」と彼女達を持ち場に返した。