思っていたのと 違うのですか‼︎
第3章
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どうやってここまで来たか、自分でもはっきりしない。
気付いたらこの階段の前に立っていた。
雲一つない青空を眺めていた。
これが雨でも降っていれば、情景的に最適なのに、気持ちとは裏腹の晴天。
重たい体で、一歩一歩登っていく。
階段の途中にある休憩所のベンチに座ると、街と空の狭間を眺めながら、電源の入っていないスマホを握りした。
遠くから微かに聞こえる車の音や鳥の囀り、木々の音を聞きながら、
「どうしようかなぁ」と小さく呟いた。
普段の私では考えられない程の衝動的行動に出た事は重々承知していた。
石橋が叩いて割れる程慎重かつ準備万端とまで言われながら生きてきたつもりだった。
緻密な計画を立て実行する予定が、何がしたいんだ‼︎と自分の頬を叩きたい程中途半端で逃げ出してきた。
これぞ、人生初体験!
なんて自分に突っ込んでは見るものの乾いた笑いしか出てこない。次の一手を考えなければ。
好奇心に負けて、結婚したのが間違っていたのか?
そもそも何故智さんは私と結婚したのか?
私を「愛している」と言った。
本音なのだろうか?ベッドの中の囁きは、リップサービスだとよく聞く。
それは本当なのか?
雰囲気を高める為だけに、リップサービスをいうタイプなのか?
わからない事だらけ。
いつも答えは自分の中にあった。深く深く自分に問いただせば答えが出てきた。
大きく背伸びをしながら叫ぶ。
「わかんない!」