思っていたのと 違うのですか‼︎
3
頭の中ではフル回転で、今後の生活を組み立てている間に
誓杯の儀 いわゆる三三九度の杯をとうに終え、指輪交換しようと智さんが私の目の前に立ち「おい」と小さく声をかけられた。
ハッと現実に戻り「すみません」と左手を差し出す。
しまった。
現実スピードについていけず、心のメモが追いついていない。
思い出さねば‼︎誰か録画していないだろうか?とカメラを探す為、辺りを見回す。
全体を見渡る場所を陣取り、クールビューティーがカメラマンに指示を出している!彼を捕まえなければ!
ようやく1人になり、これからの披露宴のことこそ、彼の顔を忘れないようにしないと。
追いつかないから!もっとゆっくりと!量が多い!と愚痴りながらも心に書き留めていく。
「お疲れ様です。披露宴まで少しではありますがお時間がございますので、ゆっくりして下さいね」
着せ替え人形状態の私に、微笑むプランナーさん。
「式や披露宴は全部撮影してますか!」
「後で映像を頂きたいのですが!」
プランナーさんの両手を掴み、勢いよく話しかける私にプランナーさんは
「大丈夫ですよ。初めから最後までしっかりと記録してございます。編集し次第、お渡しするプランとなっております。」
苦笑いを浮かべている。
女神に見えます。
「よかった」と勢いそのままでプランナーさんに抱きつくと「御新婦様?」と戸惑ったプランナーさんに呼ばれ、我に変える。
急に恥ずかしくなった私は、慌ててプランナーさんから離れると
「覚えきれなくって」と小さく言うと
「皆様、そうおっしゃいます。緊張いたしますもの。温かいお飲み物をお持ちいたしますね。落ち着きますよ」
そういうものです。とプランナーさんが部屋を外した。