思っていたのと 違うのですか‼︎
この悲しいというか感情は、私の心にストンと落ちた。
私は智さんに愛されたいんだ。
「山野の娘はお前だろ」
私の頭に手が乗る。
智さんの顔を見れば、とてつもなく優しい顔をしている。
「確かに、山野の娘と結婚しろと言われていた。だが、家との繋がりだけを考えれば、結婚だけが繋がりではないし、必要もない。
俺はお前と結婚したかった。お前が山野の娘で好都合だと思った事は否定しない。親父にも、”お前となら結婚する“と伝えてあった」
私の頭をぽんぽんと優しく叩く。
胸の苦しみがゆっくりと和らいでいく。
「俺はお前を愛している。だから、お前と結婚した」
智さんの指がゆっくりと、私の目尻と撫でる。
私、泣いている。
そう自覚すれば、涙が次々と溢れてきた。
止まらなくなった涙を抑えようと
手を伸ばせば、智さんに手を繋がれる。
そのまま抱きしめられた。
心地よい温もりと匂いに包まれる。
「他には?」と優しく囁かられた。
いっぱいあったはずなのに、愛しているの事で全てがどうでも良くなった。
小さく首を振ると「そうか」と頭を撫でてくれた。