思っていたのと 違うのですか‼︎


「まぁ、素敵」

足元に気をつけて歩いていれば、上品な黒留袖姿のお母様に声を掛けられる。

お母様の方が素敵です。

着物に負けも勝ちもせず、体の一部の様です。

写真に収めたいです。でも、今何も持っていないんです。

「帰りにでも撮ればいい」
「そうします」

「まぁまぁ。智のこんな姿が見られる日が来るなんて」

生きていてよかったわ。と感動するお母様。なかなか言いますね。

「孫の顔を見るのも時間の問題かしら」

きゃー!やっぱり来ました。

後継催促。嫁姑というか名家のお約束。

優しいお母様と思っていましたが、これは逃れられないんですね。


「来年ぐらいだな」

何、平然と答えてるんですか!
しかも、具体的!

「そうなるわね。いつまであそこに住むの?」

同居ですか?

それは覚悟しております。

「子供が2歳ぐらいまではこのまま住もうと思ってる」

へ?

「そうね。なら、それに合わせて改装しましょうね」

私を見てニコッと笑うお母様。

ん?生まれても一緒に住まないんですか?私、一人で育てるんですか?三つ子の魂はどうするんです!

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