猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
「そう言えば、milk teaではクリスマスって何かするのかな?」

去年まではmilk teaの存在を知らなかったし、行事って何かやっているんだろうか。ツリーはこないだ行った時に三毛さんが飾り付けをしていたけど。

(あの時の三毛さん、面白かった)

オーナメントにアールがじゃれついて四苦八苦していたのを思い出し、クスっと笑った。

「こないだのハロウィンはやったから、多分クリスマスもやるよね。……あの時のパイ、美味しかったなぁ」

ハロウィン限定で売り出したパンプキンパイを思い出し、グフッと笑った。カボチャのフィリングにシナモンミルクティーが相性抜群で、思い出しただけでニヤニヤが止まらない。

すれ違う人と不意に目が合い、不審な目で見られたから瞬時に表情を元に戻したけど。

「……あれ?」

そんな事をしていたら、いつの間にかmilk teaが目の前に。でも、電気が全く点いていないしカーテンも閉まっている。

「なんで……あっ!今日水曜日じゃん!milk teaお休みだよ!」

そうだった。毎週水曜日は、milk teaの定休日。すっかり忘れて来てしまった。

「そうだ~。うわー、バカだ!」

いくら嘆いても定休日は定休日。

「しょうがない。帰ろう……」

こんな寒い日はミルクティーを飲んで温まりたかったけど、定休日じゃどうしようもない。

私は項垂れながらクルッと踵を返し、来た道を戻ろうとした時――、

「実森さん?」

後ろから、チリン――と言う鈴の音と一緒に声がして振り向いた。
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