猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
「……紅茶、飲みませんか?」
三毛さんが絞り出す様な声で言う。それを聞いた私は流石に躊躇《ためら》った。
「え?……いいんですか?」
二人の時間の邪魔をしてしまうのでは?と思い、尋ねる。
「はい。折角足を運んで下さったのに、このままでは帰せませんから。どうぞ」
三毛さんは、どうしようかと迷っている私を店内へ招き入れてくれる。
「あ、でも、ライトはここだけにしても良いですか?全部点けちゃうと、お客様が来てしまいますから」
そう言って、スポットライトの様に私がいつも座るカウンター席の所にだけ明かりを点けた。
「あ、はい。大丈夫です」
おずおずと、ライトに照らされた場所へ座る。
「ミルクティーでよろしいですか?」
「あ、はい。なんでも……」
なんとなく喋り辛い雰囲気の中、私は無言で三毛さんの手元だけを見ていた。
やっぱり、三毛さんの所作は無駄がなくスマートで惚れ惚れしてしまう。
「どうぞ」
あっと言う間にミルクティーが完成して、目の前に置かれる。見た目はいつもと同じミルクティーなんだけど、フワッと香る匂いを嗅いだ瞬間、あれ?と思った。
三毛さんをチラッと見たけど、何も言わずいつもと同じ微笑みを浮かべている。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
自分の思い過ごしかと思ったけど、口に一口含んだ瞬間その疑問は確信に変わった。
(……やっぱり)
伊達に半年間通い詰めた訳じゃないな、とちょっと嬉しくなったけど、ちょっと心配にもなった。
三毛さんが絞り出す様な声で言う。それを聞いた私は流石に躊躇《ためら》った。
「え?……いいんですか?」
二人の時間の邪魔をしてしまうのでは?と思い、尋ねる。
「はい。折角足を運んで下さったのに、このままでは帰せませんから。どうぞ」
三毛さんは、どうしようかと迷っている私を店内へ招き入れてくれる。
「あ、でも、ライトはここだけにしても良いですか?全部点けちゃうと、お客様が来てしまいますから」
そう言って、スポットライトの様に私がいつも座るカウンター席の所にだけ明かりを点けた。
「あ、はい。大丈夫です」
おずおずと、ライトに照らされた場所へ座る。
「ミルクティーでよろしいですか?」
「あ、はい。なんでも……」
なんとなく喋り辛い雰囲気の中、私は無言で三毛さんの手元だけを見ていた。
やっぱり、三毛さんの所作は無駄がなくスマートで惚れ惚れしてしまう。
「どうぞ」
あっと言う間にミルクティーが完成して、目の前に置かれる。見た目はいつもと同じミルクティーなんだけど、フワッと香る匂いを嗅いだ瞬間、あれ?と思った。
三毛さんをチラッと見たけど、何も言わずいつもと同じ微笑みを浮かべている。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
自分の思い過ごしかと思ったけど、口に一口含んだ瞬間その疑問は確信に変わった。
(……やっぱり)
伊達に半年間通い詰めた訳じゃないな、とちょっと嬉しくなったけど、ちょっと心配にもなった。