猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
多分、三毛さんは気分を害したと思う。その証拠に三毛さんは何も言わずに固まってしまっている。他人にこんな事を言われて、ムカつかない訳がない。放っておいてくれ!って思ってると思う。でも、それじゃ三毛さんが一向に前を向けない気がして、そんなの駄目だって思って……。
「……ごめんなさい。でしゃばった事言って」
私は荒くなった息を整え、三毛さんに謝った。でも、間違ったことは言っていない。
三毛さんは何も言わずに写真立ての中で微笑んでいる結子さんをじっと見ている。
「……いえ。ありがとうございます。僕の事を思って言って下さったって、伝わりました」
ゆっくりと私に視線を戻して、三毛さんが言った。
「『忘れなくてもいい』って言って下さったのは、実森さんだけです」
「え……?」
「僕の両親も結子さんのご両親も友達もみんな『もう忘れて新しく恋をしろ』って言うんです……そんな事、出来る訳ないのに……」
三毛さんの頬に、涙が伝う。
「三毛さん……」
「本当に好きで、好きで好きで結婚したのに、どうやって忘れろって言うんでしょう……そんな残酷な事、どうして簡単に言えるんですか……?」
堰を切った様に、三毛さんの瞳からは涙が溢れ続けた。
肩を震わせ、声を押し殺す様に、泣いている。
私よりも大きい体なのに、今はすごく小さく見えて胸が締め付けられた。
私は咄嗟に、三毛さんの頭をポンポン……と撫でた。
あの雨の日――。
初めて出会った時、泣いている私に三毛さんがしてくれた様に。
「……っ……うっ……」
この涙で、三毛さんが前に進む勇気を持てたらいい。
そう願って見た写真立ての中。
月明かりに照らされた結子さんが、いつもより微笑んでいる様に見えた。
「……ごめんなさい。でしゃばった事言って」
私は荒くなった息を整え、三毛さんに謝った。でも、間違ったことは言っていない。
三毛さんは何も言わずに写真立ての中で微笑んでいる結子さんをじっと見ている。
「……いえ。ありがとうございます。僕の事を思って言って下さったって、伝わりました」
ゆっくりと私に視線を戻して、三毛さんが言った。
「『忘れなくてもいい』って言って下さったのは、実森さんだけです」
「え……?」
「僕の両親も結子さんのご両親も友達もみんな『もう忘れて新しく恋をしろ』って言うんです……そんな事、出来る訳ないのに……」
三毛さんの頬に、涙が伝う。
「三毛さん……」
「本当に好きで、好きで好きで結婚したのに、どうやって忘れろって言うんでしょう……そんな残酷な事、どうして簡単に言えるんですか……?」
堰を切った様に、三毛さんの瞳からは涙が溢れ続けた。
肩を震わせ、声を押し殺す様に、泣いている。
私よりも大きい体なのに、今はすごく小さく見えて胸が締め付けられた。
私は咄嗟に、三毛さんの頭をポンポン……と撫でた。
あの雨の日――。
初めて出会った時、泣いている私に三毛さんがしてくれた様に。
「……っ……うっ……」
この涙で、三毛さんが前に進む勇気を持てたらいい。
そう願って見た写真立ての中。
月明かりに照らされた結子さんが、いつもより微笑んでいる様に見えた。