猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
「ひゃ~、結構濡れちゃいましたね~」

パタパタと服や髪の毛に付いた水滴をハンカチで拭いた。

幸いな事に、私も三毛さんもナイロンのパーカーを着ていたので服は少し湿っぽくなる位で、下着などは濡れずに済んだ。

「ちょっと待ってて下さい。タオル持ってきますね」

「ありがとうございます。助かります」

「いえ。このままだと風邪を引いてしまいますから」

三毛さんがタオルを取りに裏へと走って行った。

余程急いで私を探しに来たのか電気も暖房も点けっぱなしだったみたいで、お店の中が暖かい。これも助かった。

「お待たせしました」

と、三毛さんがタオルを数枚持って戻って来る。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

フワフワに洗濯されたタオルを受け取り、濡れてしまった髪をワシャワシャと拭いた。

「なにか温かい物でもお淹れしますね」

「え、いいんですか?」

「はい。ミルクティーで良いですか?」

「あ、はい。なんでも」

「お待ちくださいね」

三毛さんがやかんにお水を汲んで火に掛ける。

(やった~!今日はまだ飲んでいなかったから嬉しい!)

ウキウキしながらいつものカウンター席に座り、三毛さんの無駄のない所作を見ながらちょっと気になっている事を聞いてみようと思った。

「ところで三毛さん」

「はい。なんでしょう?」

「どうして私が結子さんの所に居たのが分かったんですか?」

尋ねると、三毛さんの動きがピタッと止まる。

さっき三毛さんが迎えに来てくれた時から疑問だった。

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