猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
サァァァァ……━━
サァァァァ……━━
二人の間に、ゆったりとした時間が流れる。
特に会話もなく紅茶を飲んでいたけど、私はふと窓の外を見てボソッと呟いた。
「雨、止みませんね」
大分小降りになって来たけど、まだ雨は降っている。窓から外を眺めながら、なんだか三毛さんに初めて会った時と似てるなぁ、なんてぼんやり考えていた。
「そうですね……。――あの時と、初めて実森さんに会った時と似てますね」
と唐突に言われて、ドキッとした。
「そ、そう…ですね……」
ビックリした。考えてる事を見透かされたかと思った。
「あの、実森さん。ずっと気になっている事を聞いても良いですか?」
急に三毛さんが真剣な面持ちで私に向き合った。
え?なに?何を聞かれるんだ?
「は、はい。なんでしょう?」
余りの真剣さに、私は固唾を飲んだ。
「あの時…僕達が初めて会った日、実森さんは何故あんなに泣いていたんですか?ずっと気になっていたんですが、なかなか聞き辛くて……。でも、どうしても気になるんです」
そう言われて私は「とうとうこの質問が来たか」と思った。
あの時から今までずっと、どうして私があんな状態になっていたのか詳しく話した事はなかった。
だって、恥ずかしいじゃない?結婚意識してたのは私だけで、プロポーズされるのかと思いきや他に好きな人が出来たってフラれるとか。
「あっ…と……」
なんて言おうか言葉に詰まっていると、三毛さんが真っ直ぐな瞳で私を見つめて来る。
「それはですね……」
ジーっと見詰められる瞳から逃れようと、視線を反らした。
出来れば言いたくないけど、これは多分本当の事を話さないと駄目だろうな、と言う空気がひしひしと伝わる。
(しゃーない)
私は心の中で一つため息を吐いて、観念して全てを話した。