猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
最終章
楓のアパートのドアの前。
ピンポーン……とインターフォンを鳴らした数秒後、「はいはーい」と言う声と共にドアが開いた。
「はーい、どちらさ……実森!?え、どうしたの!?ずぶ濡れじゃん!」
私の格好を見て、楓が口をあんぐりと開けて驚いている。
それはそうだろう。あのままカサも差さずにここに来た。髪も、服も、荷物も全部ずぶ濡れ。
「……か゛え゛て゛~!!」
楓の顔を見たら、さっきようやく止まった涙がまたドッと溢れ出した。
「わぁっ!あぁっ、とにかく入って!」
手を引っ張られ、グスグスと鼻を啜りながら玄関に入る。
「あ、ちょっと待って!そこにいて!タオル持って来る!」
楓がパタパタと脱衣場へ走って行き、タオルを持って戻って来た。
「も~!身体冷たいじゃない!この雨の中、なんでカサ差さないのよ!?」
楓が私の頬を両手で挟み込む。
じんわりと広がる温かさに、ひぃぃっく……と嗚咽を漏らした。
「……持ってない」
「じゃあ買えばいいでしょ!」
頭をワシワシと拭かれ、「……痛い」と呟いたら「我慢っ!」と言われた。
「これでよしっ!今お風呂入ったばっかりだから、あんたも入んな!」
有無を言わさずお風呂場へと連れて行かれ、着替え着替えと言って楓が脱衣所から出て行った。
出て行く間際に、ボーっと突っ立っている私を見て「早くその濡れた服脱いで風呂入れ!」と言っていたので、私はモソモソと雨に濡れて脱ぎにくくなった服をなんとか脱いで鼻を啜りながら浴室に入った。
ふわっと湯気の温かい空気に包まれる。
「熱っ……」
湯船に足を付けると、足先が少し熱く感じた。それくらい身体が冷えているんだと思う。
それを乗り越え、チャポン……と全身浸かる。
温かい。
温かさに気が緩んだのか、また涙がポロポロと零れたけど手を動かすのも億劫で、流れるままにする。
水面に波紋が広がる。
湯船に浸かっている間、何も考えずにずーっとそれをだけを見ていた。
ピンポーン……とインターフォンを鳴らした数秒後、「はいはーい」と言う声と共にドアが開いた。
「はーい、どちらさ……実森!?え、どうしたの!?ずぶ濡れじゃん!」
私の格好を見て、楓が口をあんぐりと開けて驚いている。
それはそうだろう。あのままカサも差さずにここに来た。髪も、服も、荷物も全部ずぶ濡れ。
「……か゛え゛て゛~!!」
楓の顔を見たら、さっきようやく止まった涙がまたドッと溢れ出した。
「わぁっ!あぁっ、とにかく入って!」
手を引っ張られ、グスグスと鼻を啜りながら玄関に入る。
「あ、ちょっと待って!そこにいて!タオル持って来る!」
楓がパタパタと脱衣場へ走って行き、タオルを持って戻って来た。
「も~!身体冷たいじゃない!この雨の中、なんでカサ差さないのよ!?」
楓が私の頬を両手で挟み込む。
じんわりと広がる温かさに、ひぃぃっく……と嗚咽を漏らした。
「……持ってない」
「じゃあ買えばいいでしょ!」
頭をワシワシと拭かれ、「……痛い」と呟いたら「我慢っ!」と言われた。
「これでよしっ!今お風呂入ったばっかりだから、あんたも入んな!」
有無を言わさずお風呂場へと連れて行かれ、着替え着替えと言って楓が脱衣所から出て行った。
出て行く間際に、ボーっと突っ立っている私を見て「早くその濡れた服脱いで風呂入れ!」と言っていたので、私はモソモソと雨に濡れて脱ぎにくくなった服をなんとか脱いで鼻を啜りながら浴室に入った。
ふわっと湯気の温かい空気に包まれる。
「熱っ……」
湯船に足を付けると、足先が少し熱く感じた。それくらい身体が冷えているんだと思う。
それを乗り越え、チャポン……と全身浸かる。
温かい。
温かさに気が緩んだのか、また涙がポロポロと零れたけど手を動かすのも億劫で、流れるままにする。
水面に波紋が広がる。
湯船に浸かっている間、何も考えずにずーっとそれをだけを見ていた。