猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
「さって!寝ようか!」

「うん」

ハーブティーも飲み終わり、時刻は午前1時20分。もう遅いからこのまま楓の家に泊めて貰う事になった。

スタンドの灯りだけを点けて、他の電気は消して布団に潜る。真っ暗にしないのは、寝ていて突然小説のアイデアが浮かんだ時に咄嗟にメモが出来るようになんだって。だから、楓の枕元にはメモ帳とペンが常備されている。しかもこれはベッド周辺に限らず、トイレや洗面所、キッチンや玄関先など至る所に。

「じゃ、おやすみ~」

「おやすみなさい」

モソモソと寝返りを打って寝やすい体制になる。だけど、目を瞑ると色々思い出して逆に目が冴えちゃって寝られない。

三毛さんの唇の感触とか、熱かった手の温度とか、写真立てが割れた時の三毛さんの悲しそうな顔とか……。

モヤモヤモヤモヤと、頭も心もずーっと濃い霧がかかった様にスッキリしない。

そもそも、どうしてあんな展開になったんだろう。三毛さんはどう言うつもりであんな事をしたのか?

会話の中でなにかきっかけが三毛さんにはあったのかもしれないけど私には分からない。

< 78 / 106 >

この作品をシェア

pagetop