貧乏伯爵令嬢の世にも素敵な!?婚活事情
「後で、ロジアン様とスイーツを食べる約束をしているの。フェルナン様もいかが?」
「それは楽しそうだな。だが、今夜は食べてもいいのかい?」
からかうように言われてツンと口を尖らすジェシカを、フェルナンは楽しそうに見つめている。その視線の意味は妹のようだと思っているのか、それとも愛しい異性として見ているのか。
フェルナンにしてみれば、周りの人たちが自分たちの関係について口々にささやき合っていることをわかった上での視線だ。
当のジェシカは、まさか自分が注目を浴びているなどと思ってもいない。それは社交デビューして間もないジェシカは、フェルナンが婿候補として令嬢たちに人気のある人物だと知らないせいもある。
「もう! 今夜は父からもオリヴァーからも許可が出てるんです!!」
あの常に鋭い視線で牽制していた弟が許可を出したのなら、間違いないだろうとフェルナンが納得する。
「それはよかった」
「ええ。ただ、条件付きですけど」
「条件?」
なんとなく想像がついてしまい笑いそうになったフェルナンだったが、真剣な表情のジェシカに合わせて深刻そうな表情をしてみせた。
「ちゃんと踊ったら……」
「婿探しにか?」
「……ええ」
いかにも面倒だとため息を吐くジェシカを見て、フェルナンが苦笑した。
「ちゃんと踊ったら、食べてもいいんですって」
「ちゃんと、か」
ジェシカの言葉に、フェルナンがほんの一時考え込んだ。もちろん、その間も踊りは止めない。
フェルナンが踊るのは、かなり稀である。そのためあまり認識されてはいないが、侯爵家の人間としてダンスも徹底的に指導されており、上手な部類だ。
対するジェシカも運動神経がよく、踊るのは得意だ。
話しながらも余裕ある様子で踊る二人は相性も抜群で、見ている側は思わず見惚れるほどだった。
「よし。じゃあ、このまま次の曲も私と踊ろうか?」
「フェルナン様と、続けて?」
驚くジェシカに、フェルナンは不機嫌な表情を作ってみせる。
「なんだ、私じゃ不服か?」
ニヤリとしてみせれば、ジェシカも同じように返す。
はたから見れば、二人はかなり親密そうに見えただろう。
「いいえ、とんでもございません。私でよろしかったらお付き合いさせていただきますわ」
「それは楽しそうだな。だが、今夜は食べてもいいのかい?」
からかうように言われてツンと口を尖らすジェシカを、フェルナンは楽しそうに見つめている。その視線の意味は妹のようだと思っているのか、それとも愛しい異性として見ているのか。
フェルナンにしてみれば、周りの人たちが自分たちの関係について口々にささやき合っていることをわかった上での視線だ。
当のジェシカは、まさか自分が注目を浴びているなどと思ってもいない。それは社交デビューして間もないジェシカは、フェルナンが婿候補として令嬢たちに人気のある人物だと知らないせいもある。
「もう! 今夜は父からもオリヴァーからも許可が出てるんです!!」
あの常に鋭い視線で牽制していた弟が許可を出したのなら、間違いないだろうとフェルナンが納得する。
「それはよかった」
「ええ。ただ、条件付きですけど」
「条件?」
なんとなく想像がついてしまい笑いそうになったフェルナンだったが、真剣な表情のジェシカに合わせて深刻そうな表情をしてみせた。
「ちゃんと踊ったら……」
「婿探しにか?」
「……ええ」
いかにも面倒だとため息を吐くジェシカを見て、フェルナンが苦笑した。
「ちゃんと踊ったら、食べてもいいんですって」
「ちゃんと、か」
ジェシカの言葉に、フェルナンがほんの一時考え込んだ。もちろん、その間も踊りは止めない。
フェルナンが踊るのは、かなり稀である。そのためあまり認識されてはいないが、侯爵家の人間としてダンスも徹底的に指導されており、上手な部類だ。
対するジェシカも運動神経がよく、踊るのは得意だ。
話しながらも余裕ある様子で踊る二人は相性も抜群で、見ている側は思わず見惚れるほどだった。
「よし。じゃあ、このまま次の曲も私と踊ろうか?」
「フェルナン様と、続けて?」
驚くジェシカに、フェルナンは不機嫌な表情を作ってみせる。
「なんだ、私じゃ不服か?」
ニヤリとしてみせれば、ジェシカも同じように返す。
はたから見れば、二人はかなり親密そうに見えただろう。
「いいえ、とんでもございません。私でよろしかったらお付き合いさせていただきますわ」