関係に名前を付けたがらない私たち
「お風呂、お風呂にするっ!」

「もう遅い。後で一緒に入ろうね」

 凄まじい色香を滲ませた目元を細められ、心の中で「エッロ」と呟いてしまった。

 重なった唇に軽口を封じられた。
 しばらくの間は啄むように軽く、触れるだけだったのに、次第に唇を舐められて、親指でこじ開けられた口の中に肉厚の舌が侵入してきた。

 んんっ、と漏れ出る声すら呑み込まれ、私の舌を絡めとる優希のキスは、それだけで私をヘナヘナと弛緩させるほど巧みだった。

 唇を重ねながら、次第に伸びた手がカットソーの中にするりと忍び込む。
 手のひらが胸の膨らみをやわやわと弄り、ブラの隙間から滑り込んだ指先が、胸の先端に触れると「ん」と媚びた声が出てしまった。

「気持ちいいんだ、ここ。舐めてあげる」

 その声にゾクリとし、身体を震わせた。その反応を、これまた色気を漂わせながら見下ろす優希に、私はもう溺れかけていた。

―――ああ、まずい。これはまずい。

「あいぼん、そんなやらしい声出す子だったんだ」

「あの、優希」

「ん?」

「あなた、エロ過ぎません?」

「エロいよ、俺」

 あっさり認められた。しかも余裕と自信すら感じられる笑みを浮かべている。
 うう、こいつめ。と、一瞬思いはしたけれど、もうあれこれ考えることすら放棄せざるを得なくなって、それはもう好き勝手に、身体を蹂躙されていた。
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