関係に名前を付けたがらない私たち
 最近雨続きだなと思っていたら、知らぬ間に日本各地は梅雨入りしていたらしい。それもお客さんに教えられて、たまにはニュースを観なきゃいけないなと少しだけ反省した。
 そんなある日、優希から「6月最後の月曜と火曜、連休なんだけど、一泊二日で旅行でも行く?」と誘われた。

「なにそれ。行くっ」

 一も二もなく即答した私に、優希のほうが「でも耕平、大丈夫なの?」と気遣う有様だった。

「大丈夫だよ」

「ほんとに?」

「うん。全然、気付かれてないし、最近ほとんど家にいないもん。忙しいみたい。というか元々束縛とかしない人なんだよね」

「そうなんだ。俺とは色々違う人種なんだね。俺は普通に独占欲強いもん」

 耕平と優希。改めて考えると、全然違う。
 水と油ほどではないにしても、オリーブオイルとごま油くらいには違う気がする。

 お洒落に無頓着な耕平と仕事柄いつもお洒落な優希。
 セックスレスな耕平と何だかエロい優希。
 デリ嬢の送迎という謎仕事に就く耕平と美容室で店長をやってる優希。

 顔に関して言えば二人共タイプだ。でなければ、あんな出会いでいきなりセックスから入らないし、私は無類のイケメン好きだ。

 二人共、ザ・男という感じではなく、系統で言えば薄顔だ。
 でも耕平のほうが日焼けしていて体躯がしっかりしている。優希は滑らかな肌を持ち、無駄な肉がない細身。

 見た目の甲乙はつけられないけれど、それ以外は圧倒的に優希に軍配が上がる。
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