関係に名前を付けたがらない私たち
すっかり自分の都合のいいように考えて、両手に花、逆ハーレム状態じゃんっと浮かれっぱなしの私は、自分がとんでもなくいい女のように思えて仕方がなかった。
「ねえ優希、私のこと愛してる?」
優希はぎゅっと私を抱きしめて「好き過ぎて苦しくなるよ。早く俺だけのあいぼんになって」なんて甘やかなことを言ってくれる。
俺だけのあいぼん……。
甘い囁きにうっとりと溜息を零し掛けたとき、唐突に思い出した。
両手に花とか逆ハーレムなどと浮かれている場合じゃない。8月末までに耕平と別れなきゃ、優希を失ってしまう。
現実を思い出した私は慌てて携帯のカレンダーを確認した。
今が6月末。
ということは、あと2ヵ月しかない……。
あと2ヵ月で、2年近く一緒にいる耕平と別れなければならないのか。既に同居人のような関係とは言えども、そう考えると、何だか凄く凄く苦しくなった。
かといって、優希を失うことも苦しい。こんなに恋しちゃってるのに、優希を失うなんて身も心も辛い。
―――え、待って。これってドツボにハマってない?
何度も言うけれど、当時の私は貞操観念もおつむもちょっと弱い、おバカな女だったのだ。
どちらかを得るためには、どちらかを絶たねばならない。
そんなしごく当たり前のことが、切羽詰まってからでないと実感がなかった。
そんな苦しい選択、私に出来るのだろうか。
全然自信がなかった。
浮かれっぱなしだった優希との初旅行が終わりに近づいてきた頃。
優希が私を牽制するように言った。
「あいぼん。8月末までにちゃんと答え出してね。俺を、選んでくれるって信じてるよ」
―――ノストラダムスよ、私の未来はどうなってる? 教えてノストラダムス。
「ねえ優希、私のこと愛してる?」
優希はぎゅっと私を抱きしめて「好き過ぎて苦しくなるよ。早く俺だけのあいぼんになって」なんて甘やかなことを言ってくれる。
俺だけのあいぼん……。
甘い囁きにうっとりと溜息を零し掛けたとき、唐突に思い出した。
両手に花とか逆ハーレムなどと浮かれている場合じゃない。8月末までに耕平と別れなきゃ、優希を失ってしまう。
現実を思い出した私は慌てて携帯のカレンダーを確認した。
今が6月末。
ということは、あと2ヵ月しかない……。
あと2ヵ月で、2年近く一緒にいる耕平と別れなければならないのか。既に同居人のような関係とは言えども、そう考えると、何だか凄く凄く苦しくなった。
かといって、優希を失うことも苦しい。こんなに恋しちゃってるのに、優希を失うなんて身も心も辛い。
―――え、待って。これってドツボにハマってない?
何度も言うけれど、当時の私は貞操観念もおつむもちょっと弱い、おバカな女だったのだ。
どちらかを得るためには、どちらかを絶たねばならない。
そんなしごく当たり前のことが、切羽詰まってからでないと実感がなかった。
そんな苦しい選択、私に出来るのだろうか。
全然自信がなかった。
浮かれっぱなしだった優希との初旅行が終わりに近づいてきた頃。
優希が私を牽制するように言った。
「あいぼん。8月末までにちゃんと答え出してね。俺を、選んでくれるって信じてるよ」
―――ノストラダムスよ、私の未来はどうなってる? 教えてノストラダムス。