関係に名前を付けたがらない私たち
心の中の私が自発的に答えたけれど、こんなこと声に出せないし。万が一、答えてしまえば”何であいぼんが知ってんの”と面倒なことになるのは確実だ。
耕平とは浮気なんてしていない。ただ会っているだけ。
でもそれは通用しない。
優希の恋愛観では彼氏に言えないことはどんなことでも全て浮気になるらしい。だから私がしていることは優希にとっては浮気になる。
この場合、どう返事したらいいのだろう。
必死に頭を巡らせていると、優希が言った。
「あいつ、黒塗りの高級車に乗っててさ、なんか見るからにヤバそうな奴と一緒にいたんだよね」
「見るからにヤバそうな奴ってなに」
「まあ、あいぼんには関係ないことだよ」
私にちゅと口付けた優希は「浮気すんなよ」と耳元で甘く囁いた。
「しないよ。するわけないじゃん」
言いながら目が泳ぎそうになってしまい、慌てて私から優希にキスをする。
キスの途中、ヤバそうな奴がどんな奴なのかを思い浮かべて、思わず「ぷっ」と吹き出してしまった。
「え、なんだよ」
「ごめん。ヤバそうな奴って優希が言ったからさ、全裸なのに白い靴下だけ履いたキモい男が頭に思い浮かんだの。なんか想像したらツボったみたい」
「それヤバいけど、そういうんじゃないよ。あいぼんのそれ、単なる変質者だろ」
「想像力が乏しいもので」
「ほんとだよ」
この時は二人で大笑いした。
けれど優希が目撃したという”ヤバそうな奴”は、変質者めいたヤバさではないことが、数年後、思ってもみない形で発覚することになった。
耕平とは浮気なんてしていない。ただ会っているだけ。
でもそれは通用しない。
優希の恋愛観では彼氏に言えないことはどんなことでも全て浮気になるらしい。だから私がしていることは優希にとっては浮気になる。
この場合、どう返事したらいいのだろう。
必死に頭を巡らせていると、優希が言った。
「あいつ、黒塗りの高級車に乗っててさ、なんか見るからにヤバそうな奴と一緒にいたんだよね」
「見るからにヤバそうな奴ってなに」
「まあ、あいぼんには関係ないことだよ」
私にちゅと口付けた優希は「浮気すんなよ」と耳元で甘く囁いた。
「しないよ。するわけないじゃん」
言いながら目が泳ぎそうになってしまい、慌てて私から優希にキスをする。
キスの途中、ヤバそうな奴がどんな奴なのかを思い浮かべて、思わず「ぷっ」と吹き出してしまった。
「え、なんだよ」
「ごめん。ヤバそうな奴って優希が言ったからさ、全裸なのに白い靴下だけ履いたキモい男が頭に思い浮かんだの。なんか想像したらツボったみたい」
「それヤバいけど、そういうんじゃないよ。あいぼんのそれ、単なる変質者だろ」
「想像力が乏しいもので」
「ほんとだよ」
この時は二人で大笑いした。
けれど優希が目撃したという”ヤバそうな奴”は、変質者めいたヤバさではないことが、数年後、思ってもみない形で発覚することになった。