人生を最高に謳歌する僕の復讐方法
 ただ、この一年は本当にきつかった。
 アルバイトの金はそっくりそのまま消えていったのだから。

 それでも僕が平気でいられたのは、もう一つの隠されたアルバイトのおかげだ。 その金額はあいつに渡す為の、表のアルバイトとは比較にならない。

 そして三年に進級してからは渡す額をさらに増やした。
 貸せと言われたら、とりあえず恐怖に歪む顔をして恐々渡すのだ。
 もちろん、渡した額を毎回ノートに書き込む作業は忘れない。

 実は渡す額を増やしたのは僕の提案だ。
 あいつを唆したのだ。

『最近、使う額増えてない? 僕、あまり持ってないよ。 勉強もしないといけないし……』

 すると、あいつは言った。

『お前は黙って寄越せばいいんだ。 逆らうならもっと寄越せ』

 キレやすいあいつは僕が逆らえば、さらに額を増やすとわかっていたから。

 あいつは本当に馬鹿だ。
 楽に金が入るのだから、わざわざアルバイトして他人に頭を下げるなんて馬鹿馬鹿しいと思っているのだ。

 この調子が卒業時まで続く事になるなんて、やはり僕の思った通りの馬鹿な男だった。
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