朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「…いや、大丈夫。行ってくる」

そんなに疲れた顔をしているのか?
脱衣室の洗面台を覗き込む。

……たしかに、精細を欠くな。
なんだか年齢より老けて見えるぞ。

浴室を開けると、バスタブには温かい湯が張ってある。疲れて帰って来て、バスタブに湯があるのは有り難い。

しかし、1人の時にはあり得ない、ピンク色の湯だ。なんだか桃のような香りもする。

俺の家なのに、好き放題だな。
…まあ、いつものことだけど。

手早く体を洗い、バスタブに浸かる。
1日の疲れが解れていくのを感じる。

泉に帰れと言った、もう一つの理由……
それが今この家にいる、桐野撫子(きりのなでしこ)の存在だった。


撫子は同級生で幼馴染で、泉の親友だ。
そして……訳あって、元カノでもある。

泉と京が付き合い出す過程で、俺達は目的を同じくして付き合い出したのだ。

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