朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
だが、本人は睨んで威嚇しているつもりなんだろうけど、京の垂れ目がちな目では、困った顔にしか見えない。

「プッ……ちょ、ちょっと、アレ……」

「……おい」

「お、おかしい……こ、困ったワンちゃんにしか見えないんだけど……アハハハ」

「……お前なぁ……」

とは言うものの、確かに困った犬にしか見えない。
俺もだんだん笑えてきた。

「あーダメ。おっかし〜! 
ヘタレ王子過ぎでしょ〜」

「し、失礼だろう!………ククッ」

「何言ってんの。真だって笑ってるじゃない。……フフフ」

俺達があまりにも笑うものだから、周りから注目され出した。

「お、おい! ちょっと出るぞ」

「え? あ、ちょっと!」

「撫子が笑うから、注目浴びてる」

「真だって笑ったくせにー!」

「いいから!」

なるべく注目を浴びるようなことはしたくない。俺は撫子を急かして会場の外に出た。

まだまだ立食パーティーは始まったところだ。宴会場の外にほとんど人はいなかった。
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