朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「走って来なくても大丈夫だったのに。
ちゃんと席は確保したから、少しくらい遅れても入れるよ」

そう言って購入済みのチケットを渡した。

「ありがとう! 」

受け取って財布を出した撫子を俺が止める。

「いい。金はいらない。
俺の妹のことで世話になるんだ。
今後金は一切いらないから」

「え、でも……この映画私も観たかったし……」

「それなら良かった。
どれが正解かわからなかったからな。
観たかったんなら始めから言えよ」

「……うん。
でも本当にいいの?」

「俺、結構金は持ってるから。
親の金でもなくて、ちゃんと収入があるんだ。泉から聞いてないか?」

実は中学の時から株をやっている。
父親が教えてくれて、すぐにハマったんだ。
今まで損をしたことは一度もない。
だから、別に家庭教師のバイトをしなくても、今すぐ独り立ち出来るくらいの資金はすでに貯めている。
少しくらい遊んだって、全く問題ないんだ。
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