朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
恋人の理解 side泉
会社帰り、私達は最寄駅で待ち合わせをし、場所を移動して洋食屋さんに入った。
最寄駅付近のお店は、どうしてもHASEGAWAの関係者が多い。
別に見られて困るわけではないんだけど、気分的にゆっくり出来ないから、いつも母校のある最寄り駅まで、二駅移動している。
この洋食屋さんは学生時代からの行きつけだ。
カシャ カシャ
「あれ? どうしたの?
京が食べ物の写真を撮るなんて珍しい」
「…そりゃ当然…」
ここの名物のロールキャベツ。
まん丸で巨大なその塊に、ホワイトソースとデミグラスソースが相掛けになっていて、そのビジュアルが食欲をそそる。
食べ応え満点な見た目に反して、中はふわふわだから、女性でもペロッと食べられちゃうのだ。
「送信っと…」
「……京。それ、真でしょう?」
「もちろん。それ以外に何処へ送るって言うんだ?」
「も〜! 嫌がらせでしょう?」
このロールキャベツが真の大好物だとわかっててての行動だ。
「何言ってるんだ。視覚だけでも美味しい思いをさせてやろうと言う優しい心遣いだ」
「……」
仕事上がりにこの写真を見て、舌打ちする真の姿が浮かぶよ……。
まあ、こんな子供っぽいやり取りはいつものことだ。