朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
恋人の理解 side泉

会社帰り、私達は最寄駅で待ち合わせをし、場所を移動して洋食屋さんに入った。

最寄駅付近のお店は、どうしてもHASEGAWAの関係者が多い。

別に見られて困るわけではないんだけど、気分的にゆっくり出来ないから、いつも母校のある最寄り駅まで、二駅移動している。

この洋食屋さんは学生時代からの行きつけだ。


カシャ カシャ


「あれ? どうしたの? 
京が食べ物の写真を撮るなんて珍しい」

「…そりゃ当然…」

ここの名物のロールキャベツ。

まん丸で巨大なその塊に、ホワイトソースとデミグラスソースが相掛けになっていて、そのビジュアルが食欲をそそる。

食べ応え満点な見た目に反して、中はふわふわだから、女性でもペロッと食べられちゃうのだ。

「送信っと…」

「……京。それ、真でしょう?」

「もちろん。それ以外に何処へ送るって言うんだ?」

「も〜! 嫌がらせでしょう?」

このロールキャベツが真の大好物だとわかっててての行動だ。

「何言ってるんだ。視覚だけでも美味しい思いをさせてやろうと言う優しい心遣いだ」

「……」

仕事上がりにこの写真を見て、舌打ちする真の姿が浮かぶよ……。

まあ、こんな子供っぽいやり取りはいつものことだ。

< 13 / 517 >

この作品をシェア

pagetop