朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
あの日、あのマグカップを貰った時に、私の中で何かが崩れた。
きっと、ごく普通にお菓子を返してくれるのだと思っていた。それなのにあんな、私の事考えて買ってくれたってあからさまにわかる物……反則だ。

それに、私を見る目に欲望の色が見えた。
まさか私をそんな目で見ると思ってもみなかったから驚いたと同時に嬉しかったのだ。
こんな私でも、欲望の対象になる事が。

「きっとまた抱く」

そう言われた時はドキッとした。
私も否定出来ないと思ったから。

また求められれば、私は応えてしまうだろう。安易に想像できた。

でも、お付き合いすることと抱き合うことは違う。
真が私に恋愛感情を持っていないことくらいわかっていた。

私だって同じだ。
あの時は、流されたのだ。
アルコールと、状況と、欲望に。

でもその相手が他の人だったら私は流されたのだろうか……。




「おはよ」

浴室から出ると、既に真がコーヒーを飲んでいた。

「起きてたの? おはよう。
シャワー浴びる? 朝ごはんの支度するわ」

「時間あるのか?」

「ここからなら15分で着くから大丈夫よ。8時半までに入ればいいから」

「……そうか。
じゃあ行ってくる」
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