朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
真は遅番なんだから、もう少し寝ててもいいのに。

そうは思ったけど、どうせなら出来立てのオムレツを食べてもらった方がいい。

大急ぎで朝食の準備に取り掛かった。




「フェアって何時から?」

「10時から。
私は先に会場入りして
着物のチェックとブースの確認。
オープンまでにやることは山ほどあるの」

「何時に終わる?」

「……」

「今日も泊まるだろう?」

「………一応、ホテルは取ってるんだけど……」

「キャンセルしろよ。経費がもったいないだろう?」

キャンセルなんて出来るわけない。
出張なんだから、領収書がなかったら兄におかしいと思われる。

実は昨日のうちにチェックインを済ませている。実際に泊まったのは真の部屋だけど。

それに今日は…

「……打ち上げがあるの」

「……」

うわ…
表面上は無表情だけど、機嫌が悪い。
真は“今晩も”と、企んでいたのだろう。
申し訳ないけど、打ち上げ参加も仕事のうちだ。

「親戚もいるし、今日は抜け出せないと思う」

「迎えに行く」

「え」

「打ち上げ、何時に終わる?」

「……真、あの……こっちに移動するとしても、遅くなると思うよ? 」

「問題ない。俺も遅番だし、明日は公休日だ。
お前も代休だろ?」

「……」
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