朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「ナコちゃんありがとう。
でも事実なんだよ。本気にされていない。
それに、身分が違うとか、育った環境が違うとか、いつの時代だよ!? って思うようなことを言うんだ」

なるほど……。
その彼女は多分ごく普通の家庭で育った人で、気後れしているってことね。

「だから……彼女を待っていられないんだ。いや、待つつもりではある。ただ、その前に見合い相手を断らないといけない。
そのためには、」

「偽装恋人が必要……というわけですか?」

突然、真が話に入ってきた。

「あ、ああ。その通り。
ナコちゃんにその役割をしてもらえないかと思ってる。
……ナコちゃんなら、俺を好きになることもないでしょ?
なるべく、噂を回収出来るようにしておきたい」

なるほど……と言いたいところだけど、色々とツッコミポイントがある。

「すみません…
どう考えても話が長引きそうなので
奥の席に移動していただいてもいいですか?」

真が私達に席の移動を促してきた。

「あ、ああ……申し訳ありません。
場所を変えましょうか?」

「いえ。ここで話してください。
CLOSEⅮにするので、明かりは半分になりますが、宜しいでしょうか?」

「もちろん。CLOSEⅮの準備してきてください。
その……誤解のないように、出来ればあなたにも聞いてほしい」

「……わかりました」

それから真は、さっきのスタッフに帰るよう指示を出し、閉店のルーティンを素早く終えた。
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