朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
本当だ。
亜希さんが自分自身を否定しているその理由を、そのまま肯定しちゃうんだ。
つまり、なんのバックグラウンドもないって事を……。

「そっか……朝倉さんの言う通りだ」

達矢さんは疲れたように眼鏡を外し、頭を抱えた。

「ごめん……なんか迷惑かけたけど、やっぱり正攻法で解決させないとダメだな。
……ナコちゃん申し訳ない。
朝倉さんも、巻き込んでしまってすまなかった」

疲れ切ったような達矢さんを見ていると、なんとか力になれないかと思ってしまう。

ただ断るだけのためなら、偽装でも何とかなるかもしれない。
でもそれじゃダメなんだよね。
亜希さんを傷付けたら、元も子もない。

「ちゃんと向き合ってみます。
亜希とはもちろんですが、姫……姫依ちゃんとも。
彼女に誤解させるような態度を取ったつもりはないんですが、きっと今までの接し方にも問題があったのでしょう」

「あくまでも仕事で接してこられたのだと思います。しかし、優しさを勘違いする人もいます。
あと、これは余談ですが……
ポラリスグループは、先代の社長が倒れられてから、その弟が跡を継いでいます。3年前の話です」

「よくご存知で……」

「上場企業の動きは常に追ってますから」

何者っ!?

と言いたげな表情で私に視線を送る達矢さん。
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