朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「申し訳ないけど、泉ちゃんも一緒に参列してくれる?」

「え! 私ですか!?
でも、今日は私小連の総会に同行……」

「私一人で行くわ。
ポラリスの前社長にはお世話になったの。
本来ならこちらも、社長が自ら参列しなければいけないところなの。
でも太一くんを連れて海外出張中でしょう?
私も講演会で時間的に難しいし。
うちみたいな同族企業は、やっぱり長谷川の名のものが参列するのが礼儀なの。
ただ、京1人じゃちょっと……」

心配、ということだろう。

「でも、私もどうしたらいいのか……」

正直、私が秘書になって初めて受け取った訃報だ。秘書検定で知識やマナーは頭に入っていても、代表して参列となると緊張する。

「大丈夫よ。今から教えるから。
とりあえず、樒はないみたいだから、供花ね。対で社長の名前と私の名前、両方で出してくれる? メールじゃないわよ。葬儀式場では間違いのないように全てFAXなの」

突然始まったレクチャーに素早く対応する術も、この4ヶ月ですっかり身についた。

常務の口から滔々と語られる内容を、全てメモしていく。
メモを取り終える頃には、この内容通りに私でも出来るんじゃないか、という気持ちになってくる。
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