朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
通夜へ side泉
終業時間になって、京が役員フロアに上がってきた。ブラックタイをしている。
スーツはいつもと変わらないのに、礼服仕様になるとなんだかドキッとする。

「お疲れ様。私も準備出来てるよ」

私も秘書になってからは、常にロッカーに喪服を準備している。御数珠やアクセサリー類も、念の為置いていた。
だから既に着替えを済ませてスタンバイOK。

「ちょっと早いけど、そろそろ出る?」

「ああ……」

「なに? 」

「女の人の喪服ってさ、色気十倍増しだよなぁ……。
なぁ、今日はこのままうちのはなれに寄って……」

「もうっ!  
ダメよ。今日は撮影しないからね」

「えぇ〜っ! なんでだよ〜!? 」

喪服で撮影とか、喪服のフィギュアとか、勘弁して。まったく京は〜。
ブラックタイにキュンとしたところだったのに、中身は相変わらずだったわ。
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