朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「そりゃ、菓子の意味合いだよ。
バームクーヘンは断面が樹木の年輪のようなお菓子だよな?
結婚して、1年、2年と時を重ねていく……それを年輪にたとえる。
だから夫婦の象徴のような菓子として結婚式の引き出物の定番じゃないか。
うちのバームクーヘンは伝統的な製法で1本1本じっくり火を通しながら生地を回しかけ、焼き上げていく。
本来ならなんの装飾をしなくても、どこに出しても恥ずかしくない菓子だと思ってる」

「…うん。そうだね。
年輪は2人の愛の軌跡。
永遠の愛を刻むお菓子。
バームクーヘンは縁起物って感じがするお菓子だよね」

「……縁起物……? 」

「え? あ、ちょっと古いかな?
そういう言い方……」

「いや!……そうか。縁起物だ!」

「う、うん。……うん?
それがどうしたの?」

「泉、今、縁起物って言い方が古いって言ったよな?」

「うん……言ったね」

「……和のイメージ。縁起物って聞いたら和のイメージがしないか?」

「たしかに。
でもドイツ菓子だよね……? 」

「いや、元々はドイツのケーキであるけど、現代ではドイツでそれほど食べられている菓子ではないんだ。むしろ日本の伝統菓子のようになっている。
縁起物、日本の伝統……といえば、和のイメージじゃないか?」

「……うん。そうだね?」
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