朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
なぜ気づかなかったんだろう。
洋菓子屋なんだから、洋風なデコレーション、っていう固定概念に囚われていた。

「泉、俺の中で和のイメージの象徴が、泉の振袖姿なんだ」

「はい?」

「成人式の時、泉の艶やかな振袖姿を見て、こんなに綺麗なものがあるのか!って感動した。
だから、残したくてフィギュアも2体作ったんだ。
愛先生にあげたのと俺のコレクション」

「知ってるけど……」

どうしてフィギュアの話になったのか?
……と泉が首を傾げている。

俺はあの時、振袖の繊細な柄を描き入れるのにかなり気合を入れた。本当に美しいと思ったんだ。
伝統的な柄って素晴らしいって。

「バームクーヘンを着物で巻けないかな? 」

「着物!?」

「着物と言うか、着物の生地だよ」

「んー、風呂敷とか袱紗とか?
それって、バームクーヘンの形状はもちろんカットしてないのよね?」

「ああ。イメージはカットしていない細めのバームクーヘン。長いままのカステラくらいの。
ちょっと待って。描いてみるから」
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