朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
粗方食べ終わったところで、撫子を呼び出した理由を話す。
そして昨日百均の布で試してみた写真と、京の描いた完成予想図を見せる。

「なるほどね……いいわね、これ」

「本当!? 」

「うん。和テイストのバームクーヘンのお店ってあるじゃない?
確か真っ黒な箱に入ってて、紙箱だけど、塗りの箱の雰囲気を出してるとこ。
だからバームクーヘンで和がないわけじゃないのよ。
ただ、そっちは高級そうには見えるけど、見た人の目を惹き付ける引き出物って感じではないわね。
でも、これならあの大きな会場でも目を引く。桐箱にするの?」

「うん。その予定で今京が動いてる」

「そう。その方がいいと思うわ。
ただ、いくつか問題点はあると思う」

「うん。あると思う。
ナコの気になるところを言って? 」

仕事用のメモ帳はスタンバイOKだ。

「まず1つ目。
京が振袖をイメージしているということは、正絹もしくは絹糸になるの。
もちろん端切れだとしても、量を揃えるにはそれなりにお値段もする。
今回のブライダルフェスティバルだけの事で考えれば、桐野屋の工房にある端切れを使ってくれたらいいわ。
でも、実際に稼働し始めると、端切れでは続かないから反物を購入してもらわないといけないの」
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